前回1990年代に中国で発売されたプラレールについて取り上げましたが、そちらが一旦途絶えた後に今は形を変えてプラレールが中国で販売されています。
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それがこちら。今のところ特に中国限定品は無く、3両単品については日本での通常品を専用パッケージで販売するに留めているようです

なお価格は179元で、昨年12月当時のレートに換算すると約3600円。海外品なので少し高くても仕方ない…と思うかもしれませんがペットボトルの水が40円(2元)、オレオが100円(5元)で買える国*の3600円なのでとんでもなく高い買い物です。
*ただし外食などは物価高騰で以前よりかなり上がり、下手すると日本より高いくらいでした
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まず気になるのは専用ロゴですが、以前の陪樂兒(ペイラーアール)とは異なり路路(pǔ lè lù lù)[1]という当て字が使われています。カタカナでは「プゥラァルゥル」が近いようですが、どちらも"ラ""楽"の文字を当てている点は興味深いですね。

調べてみたら「いつも楽しいレール」という意味も兼ねているようで、確かに私もこの鉄道玩具にはいつも楽しませて頂いています。
まあ楽しくなければこんなブログを運営していないわけで
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それ以外も日本の10代目箱に書いてある内容は全て中国語に訳されており、この通り実車紹介や専用連結仕様特有の説明書きもちゃんと載っています。ただ15億人の中でE233系が何線で走っているのか知りたい人がどれくらいいるんですかね…?
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逆に商品名だけは日本語がそのまま使われており、わずかながら日本の玩具である事をアピールしている様子が伺えます。
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裏面も日本と同じ…かと思いきや現地の法令に合わせたためか製品仕様や注意・警告がかなりデカデカと書かれています。多数ある海外向けでもここまで面積を使っているは中国向けのみ。
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左側の「遊びかた」は基本的に日本版と同じでした。豆知識ですが単三乾電池は世界的には"AA型"と呼ばれています。
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一方で製品仕様を見ると関係する企業の名前が詳細に掲載されており、読み解いてみると
企画:トミーアジア(香港)
・生産:ウェルパワーベトナム(塁宝越南)
・販売:トミー上海(中国)
と3社を介している事がわかりました。企画と販売がタカラトミーグループで完結しているのはわかるのですが…
また委託生産だったの!?

という事で中国向け製品により今も外部メーカーに生産を委託していた事が判明してしまいました。もう少し調べてみるとウェルパワー(壘寶實業/塁宝実業)という香港の会社の法人登録が見つかり、どうやらそこのベトナム法人で製造をしているようです。日本版のパッケージには一切書かれていないので驚愕の新事実ですが、よく考えてみればトミーアジアも香港に拠点を構えているのでそこが生産委託先を探したのであればそこまで不自然な話でもない…ような気がします。

なお中国でトミーは多美と書いてドゥオメィ(duō měi)[2]と発音するみたいですね。
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最後にロット番号の刻印を。K1921と読めるので2021年11月19日製造分でした。日本では2021年6月に発売[3]されているので半年くらい遅いようです。

中身はおそらく日本発売分と何も変わらないので割愛しますが、当時は「なかなかすごいものを手に入れてしまった」と思っていたはずが、そこからたったの3か月で過去の中国版と並んでしまう結果になってしまいました。しかもここから日本では判明するはずのない事実まで見つけてしまうだなんて…未だによくわからない趣味です。

これは余談ですが、去年中国版プラレールを手に入れたのは仕事で上海の方へ出張に行ったからであるものの…
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上海駅は地下鉄のような駅だと聞いていたはずなのに普通の地上駅でした。陪樂兒に騙された!!!

【参考文献】
[1[2]白水社中国語辞典』白水社 2002年
[3] タカラトミーモール内S-31 E233系湘南色(専用連結仕様) 商品ページ