上武樹脂鉄道振興会

この先、揺れる事がありますのでお気をつけください。

2020年12月

以前イギリスへ輸出されていたプラレールについて投稿した時に「これ以外のヨーロッパ版のプラレールが発見されてしまうのか」と書いていましたが、それがまさかの伏線となってしまいました。

という事で今回海外から取り寄せた商品がこちらになります↓
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「Tomy-Express Basic-Set」です。前回のパリトイ社とは異なりトミーから直接発売されたものになります。

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まず目を引くのはパッケージが全てドイツ語で書かれている点。トミートレイン(Tomy Train)もトミカワールド(Tomica World)もドイツでは販売されていなかったので、そもそもドイツでプラレールが発売されていた事が驚きの発見です。余談ですが管理人はドイツに数年間住んでいた事があるものの一度も見た事が無かったため、今回発見するまで全く知りませんでした。
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ただ発売元はイギリス法人であるTomy UKだったので、そちらで展開していたトミートレインにしなかった点は疑問が残ります。ちなみにドイツ法人のTomy Deutschlandが設立されたのは2005年、旧TOMYロゴの製品なので明らかにその前ですね。

箱を見る限りでは「プラレール入門セット」と同じオーバルのレイアウトに付属品一式と非常にシンプルな構成。この様子だと日本版から箱だけ変えただけのように見えますが.........
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開けてみるとなんとトミートレインと同じ紺色のレールが入っているのです。車両も同じく「入門セット」に収録されていたライト機構なしのタイプですが、先頭車に「TOMY EXPRESS」のロゴが印字されている事が大きな特徴。ひかり号のバリエーションは多数ありますが、これが無いと全て揃わないという事になってしまいました。
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残念ながらロット記号が刻印されていなかったので正確な年代が特定できませんでしたが、箱の側面には"Hergestellt in Thailand(タイで製造)"の記述があったため少なくともタイ工場が稼働開始した1987年以降の製品であることが伺えます。そもそも新動力ですからね。

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箱の裏は真っ白でしたが、ebayでの過去の出品物等で調べた限りでは他のセットは裏に商品ラインナップ紹介が載っていたようです。またそこからそれなりの商品展開があった事が判明し、レールセットが計4種類に単品車両とレールが数種類見つかっています。現時点で確認できているラインナップは以下の通り↓
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レールは比較的オーソドックスなのに対して車両がスーパーひかり号やビッグスニーカートレインとチョイスが若干謎ですね。ちなみにトミカワールド時代にフラノエクスプレスも発売された事があるため、ビッグスニーカートレインとの両方がヨーロッパで出回った事になります。まさかJR北海道も1編成しかないこの車両がこれだけ海を渡っていたなんて想像もしなかったでしょう。

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とりあえず箱の通りにレイアウトを組んでみました。基本的な楕円形のレイアウト以外の何者でもないですが、レールの色が変わるだけでかなり落ち着いた印象を受けます。

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改めてプラレールの直線レールと繋げてみるとかなり暗い色である事がわかります。もちろん規格は同じなのでキーストーンのレールとも問題なく繋がりました。

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ちょうど必要な部品が全て揃っていたので日本発売分でも同じレイアウトを作ってみました。これで無事に(?)パッケージ写真も再現完了です。

これまでに「プラレールのすべて」などで海外で発売されたプラレールが取り上げられてきましたが、まだ知らぬ海外プラレールが出てくるとはなんとも広い世界ですね。ただ、もし"あっち"にいた時であればそこら中で探し回っていたかもしれないので、もう少し早く知りたかったような気もするような.........


Twitterで発表してから3カ月近く経過してしまいましたが、年内には製作記を投稿したかったのでこの機会に書いてみます。

きっかけとしてはフォロワーさんの間で路面電車が流行り始めていたので自分も何か欲しかったと極めて単純なものだったのですが、肝心の作る題材が全く決まらずあれこれ候補を出していた時、ふと部屋に飾ってあったある模型に目が留まりました。
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香港トラムのNゲージサイズのディスプレイモデルです。3年前、ヨーロッパ遠征へ向かう途中に寄り道した時に買ったものでした。ちなみに価格は1つ65ドル(約880円)と非常にお手頃。今はその香港へ行く事がとても難しいですが

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香港トラムといえば世界で唯一の全車両が2階建ての路面電車で、日本の観光ガイドにも普通に載るくらいの観光名所でもあります。しかも箱型の単車ばかりで、かつ屋根も平らなので製作難易度も高くはなさそう。

「あ、これでいいじゃん」という事で早速図面を引き始め……
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翌日の朝にはこの通りシルエットカメオで切り出された車体側面が出来上がっていました。材質は0.5mmのプラ板。何事も勢いって大事ですよね。

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続いて妻面と屋根もできたのでとりあえずの仮合わせ。この時点で既にプラレールとしては明らかに大きすぎる気もしますが、元からその前提なので気にしてはいけません。

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この後に車体と屋根をそれぞれ0.5mmプラ板から切り出した内張りで補強し、車体の前後に半円形のフレームを取り付けた上で妻面のパーツを接合しますが……
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例によって途中経過の写真が無いのでいきなり組み上がった後に飛びます。ちなみに妻面は少し幅広めに切り出し、接合後にヤスリや瞬間接着剤で側面との段差を埋める方式をとりました。隣にあるのは比較用に置いた江ノ電300形ですが、やはり異様なくらい背が高いですね。

あとは屋根上機器を取り付ければ車体としてはほぼ完成なのですが、そのままだと窓周りの強度に不安があったので…
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一旦内張りから切り出した窓部分のパーツを塗装後に裏から貼り付ける事で対処しました。もっとも、この段階での削り出しが不十分だったので取り付けの段階でだいぶ苦労するのですが

後編につづく

お久しぶりです。数か月前にプラレールの祖先を手に入れた記事を投稿しましたが、この度またしても海外からプラレールらしき鉄道玩具を入手しましたので紹介します。まぁ届いてから記事を書くまで約1カ月寝かせてしまったのですが
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それがこちらの"Palitoy Merry-Go-Train-Set"です。発売していたのはイギリスのパリトイ(Palitoy)社という玩具メーカーで、1994年にアメリカのハスブロ社*に吸収合併されて消滅しています。
*モノポリー・ジェンガ・ナーフなどで有名な玩具メーカー

……ところでこれ、レールといい車両といい、トミーから発売されていたプラレールランドシリーズの「かんらんしゃセット*」に非常に似ているんですよね。いくら日本とイギリスが離れているとはいえ偶然ここまで似ている鉄道玩具が同時に出てくるとは思えないですし、まさか……
 
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というのは冗談でこれは偽物ではなく正式にパリトイ社がトミーへ製造委託していたもので、その証拠に箱の側面には「パリトイの委託を受けてトミーが台湾で製造」との記載があります。後にトミーは'90~'00年代に「トミートレイン(Tomy Train)」や「トミカワールド(Tomica World)」の名でプラレールをヨーロッパで商品展開しますが、実はそれよりも先にOEM供給の形でイギリスへ進出していたのです。もっとも、トミーが台湾に工場を持っていた事自体が初耳ですが……
*かんらんしゃセットについてはプラレール資料館に詳しく掲載されています 

残念ながら正確な発売時期は箱や説明書に書いていないので不明のままですが、"かんらんしゃセット"が1977年発売開始である事やパリトイ社が1984年に規模を大幅縮小した事から遅くとも1980年代初頭までと思われます。
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箱を開けるとこんな感じ。基本的にかんらんしゃセットの色違いですが、日本版では90°小曲線レールが入っていたのに対しこちらは普通の曲線レールで、しかも直線レールが2本加わってやや大きめなレイアウトとなっています。小曲線レールが入っていないのは惜しいですがこの色の曲線レールも珍しいといえば珍しいので… 

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動力車をひっくり返すと「©1976 TOMY」とちゃんと書いてありました。車両も台湾製のようですが日本で台湾製のプラレール車両って出回っていましたっけ…?

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更に動力車のカバーを外すとなんと「檢」と繁体字で検査印が貼られていました。これも台湾製の証拠になりますね。

その他は(シールを除き)かんらんしゃセットと全く同じなので省略しますが、トミーが自らヨーロッパへ進出する前から海外へプラレールが輸出されていた事はキーストーンの発見と並ぶくらいの驚きとなりました。これ以外にも既にスペインでライセンス品と思しき鉄道玩具が販売されていた形跡*が見つかっていますが、果たしてこれ以外にもヨーロッパ版のプラレールが発見されてしまうのか、気になるところです。
*「プラレールのすべて3」ネコ・パブリッシング・2001年

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あとこれは余談ですが電池を入れたところ通電こそしたものの、やたら走りがぎこちなかったので分解したところ車軸のギヤに大きなヒビが入っていました。しかも両端には摩擦ゴムの金具がガッチリと付いているので交換も難しそうですし、一体どうすれば直せるのやら……

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