上武樹脂鉄道振興会

この先、揺れる事がありますのでお気をつけください。

突然ですが最近改造プラレールの作品一覧が流行っていると聞いたので、これを機に当ブログでも過去に改造した作品を1ページにまとめてみました。ほとんど記事にしていない一部ブログ記事になっていない作品もありますので、それらについては完成報告ツイートで代用しています。

灰色背景で表記されている作品はtwitterの完成報告ツイートに飛びます

[JR北海道]

キハ261系1000番台(構体輸送仕様)

キハ182(宗谷本線急行色)

キハ143・キサハ144

733系0番台

DE15 1500番台

DE10 1741

キハ183 1550番台

キハ182 0番台(晩年仕様)

キハ182 0番台(自走仕様)

ワム80000

トキ25000

旭山動物園号(最末期仕様)

旭山動物園号(最々末期仕様)


[JR東日本]

EF81 134

701系0番台(秋田色)

701系100番台(仙台色)


[JR四国]

7200系

2000系(出場試運転仕様)


[JR貨物]

EF81 76

EF81 404

EH500

コキ5500形(札幌貨物ターミナル仕様)


[国鉄]

マヤ40形

ヤ80形

ヤ82形

50系50形

[私鉄・民鉄]

札幌市交通局7000形(前期車)


[海外]

コンゴ民主共和国国鉄2600形

香港トラム110号

🇦🇹ÖBB1116形電気機関車

🇦🇹ウィーン地方鉄道1116形電気機関車

🇦🇹ÖBB IC客車各種

🇩🇪MRCE 1116形電気機関車

🇩🇪DB IC客車各種


[その他]

近郊電車(ライトグリーン)

鉄道総研103系

鉄道総研711系(衝突試験仕様)

快速特急

サフィール日高屋

宗谷本線 筬島駅

とてもいなかのえき

もっといなかのえき


[新メカ化]

ボンネットとっきゅう

ライト付きひかり号

カモメエクスプレス

フラノエクスプレス

電動超特急ひかり号

東北上越新幹線

[論外]

駅前で保存されている車輪

賢い人には見えるプラレール

前回1990年代に中国で発売されたプラレールについて取り上げましたが、そちらが一旦途絶えた後に今は形を変えてプラレールが中国で販売されています。
IMG_0740
それがこちら。今のところ特に中国限定品は無く、3両単品については日本での通常品を専用パッケージで販売するに留めているようです

なお価格は179元で、昨年12月当時のレートに換算すると約3600円。海外品なので少し高くても仕方ない…と思うかもしれませんがペットボトルの水が40円(2元)、オレオが100円(5元)で買える国*の3600円なのでとんでもなく高い買い物です。
*ただし外食などは物価高騰で以前よりかなり上がり、下手すると日本より高いくらいでした
IMG_0742
まず気になるのは専用ロゴですが、以前の陪樂兒(ペイラーアール)とは異なり路路(pǔ lè lù lù)[1]という当て字が使われています。カタカナでは「プゥラァルゥル」が近いようですが、どちらも"ラ""楽"の文字を当てている点は興味深いですね。

調べてみたら「いつも楽しいレール」という意味も兼ねているようで、確かに私もこの鉄道玩具にはいつも楽しませて頂いています。
まあ楽しくなければこんなブログを運営していないわけで
IMG_0743
IMG_0746
それ以外も日本の10代目箱に書いてある内容は全て中国語に訳されており、この通り実車紹介や専用連結仕様特有の説明書きもちゃんと載っています。ただ15億人の中でE233系が何線で走っているのか知りたい人がどれくらいいるんですかね…?
IMG_0744
逆に商品名だけは日本語がそのまま使われており、わずかながら日本の玩具である事をアピールしている様子が伺えます。
IMG_0741
裏面も日本と同じ…かと思いきや現地の法令に合わせたためか製品仕様や注意・警告がかなりデカデカと書かれています。多数ある海外向けでもここまで面積を使っているは中国向けのみ。
IMG_0745
左側の「遊びかた」は基本的に日本版と同じでした。豆知識ですが単三乾電池は世界的には"AA型"と呼ばれています。
IMG_0747
一方で製品仕様を見ると関係する企業の名前が詳細に掲載されており、読み解いてみると
企画:トミーアジア(香港)
・生産:ウェルパワーベトナム(塁宝越南)
・販売:トミー上海(中国)
と3社を介している事がわかりました。企画と販売がタカラトミーグループで完結しているのはわかるのですが…
また委託生産だったの!?

という事で中国向け製品により今も外部メーカーに生産を委託していた事が判明してしまいました。もう少し調べてみるとウェルパワー(壘寶實業/塁宝実業)という香港の会社の法人登録が見つかり、どうやらそこのベトナム法人で製造をしているようです。日本版のパッケージには一切書かれていないので驚愕の新事実ですが、よく考えてみればトミーアジアも香港に拠点を構えているのでそこが生産委託先を探したのであればそこまで不自然な話でもない…ような気がします。

なお中国でトミーは多美と書いてドゥオメィ(duō měi)[2]と発音するみたいですね。
IMG_0748
最後にロット番号の刻印を。K1921と読めるので2021年11月19日製造分でした。日本では2021年6月に発売[3]されているので半年くらい遅いようです。

中身はおそらく日本発売分と何も変わらないので割愛しますが、当時は「なかなかすごいものを手に入れてしまった」と思っていたはずが、そこからたったの3か月で過去の中国版と並んでしまう結果になってしまいました。しかもここから日本では判明するはずのない事実まで見つけてしまうだなんて…未だによくわからない趣味です。

これは余談ですが、去年中国版プラレールを手に入れたのは仕事で上海の方へ出張に行ったからであるものの…
IMG_9183
IMG_9184
上海駅は地下鉄のような駅だと聞いていたはずなのに普通の地上駅でした。陪樂兒に騙された!!!

【参考文献】
[1[2]白水社中国語辞典』白水社 2002年
[3] タカラトミーモール内S-31 E233系湘南色(専用連結仕様) 商品ページ

先日各務原市桜まつりのプラレール運転会へ参加してきましたが、その折にご縁あってこのようなものをお迎えする機会を頂いてしまいました↓
IMG_0730
「プラレールのすべて」にも掲載されていた中国限定プラレールの1つ「力獅号(リーシーハオ)」です。同書によると1997年に中国での販売のために現地で生産していた製品との事[1]。この本によりかなり前から存在だけは知っていたのですが、まさかこんな手元で拝める日が来るとは思っていもいませんでした。
IMG_0735
中国での商品名は陪樂兒(péi lè ér)[2]で、カタカナにするとペイラーアールが一番近いでしょうか。「子供といっしょに楽しく」という意味[3]だそうなので「プラレール」に当て字をしつつもキャッチコピーを兼ねている点にセンスを感じます。
IMG_0731
さて今回初めて裏の説明書きもお目にする事となったのですが、肝心の販売者と生産者の欄を見ると…
IMG_0733
販売:東莞煌金樹貿易有限公司
生産:東莞廣達塑膠製品有限公司

あれ?販売元がトミーじゃない?

そうです、トミーではない別の企業の名前が書かれているのです。
IMG_0732
箱の左側の注意書きにも同じ社名が書かれていました。社名と住所にある東莞(とうかん・ドングァン)市は広東省にある都市で、香港から近いため輸出製品に関連する軽工業が盛んと言われています。

それならこの会社も実は香港に本社を構えているのでは、と思い右端のロゴなどを手掛かりに調査を進めた結果、生産者である廣達(クォリダクス)社の公式サイトを発見。やはり親会社は香港にあり、しかも今でも営業しているようです。簡体字を使う中国本土で販売していた割になぜかパッケージが全て繁体字で書かれていた事にずっと違和感があったのですが、大元が繁体字を使う香港にあるという事であれば納得がいきますね。

さらにこの会社、OEM事業として試作品から型製作・製造・品質検査まで一貫して生産受託を行うことができるそうで、以前からトミー製品の仕事を請け負っていた可能性が考えられます。製造委託自体は決して珍しい話ではなく、特に製造受託会社の多い香港では他にもケーダー社(Kader Industrial Company Limited)がTOMIXの前身であるトミーナインスケールの製造委託を受けていた事例もありました[4]

なお販売者である東莞煌金樹貿易社も企業ポータルサイトに掲載されており、日用品や玩具を扱う商社である点までは確認できましたが、こちらは現在も営業しているかは不明です。

ここからは完全に想像の話となってしまうのですが、プラレールを中国で展開するにあたって新しく現地法人を立ち上げるのではなく、現地かつ既にトミーと繋がりのあった企業を経由して製造・販売ともに委託した方が合理的だという判断がなされたのではないでしょうか。中国本土に子会社を持っている会社であれば法律や商慣習の経験も豊富にあるはずなのでなお都合がよかったはずです。

またこの話は以前幣ブログで紹介したイギリス向けプラレールにも繋がっているが可能性あり、当時「台湾製と書いてあるのにトミーが台湾に工場を持っていた記録が見つからない」などと書いていたものの、今回の発見によりそもそもトミーは台湾に工場を持っておらず、現地の玩具メーカーへ再委託していた可能性が浮上しました。同じく西ドイツのシュテルコ社向け製品の一部などにあった香港製の車両もこのパターンなのではないかと今であれば推測できますね。
IMG_0734
まだ開けていない開けるのが怖いので車両の写真はこれしかありませんが、この側面の帯が青色の「力獅3号」に加えて紫色の「力獅2号」、セット品で国鉄色の「力獅1号」の全3種類の構成となっているようです。ただこの後の2002年に西日本スペシャルセットで「キハ181系 特急いそかぜ」として日本でもディーゼル特急が再販されているので、それまでに廣達社から金型が返却されてきたのか、それともそもそも廣達社で使うためにもう1つ金型を起こしたのか、気になるところですね。

という事でほぼ箱だけでかなりの文章量となってしまいましたが、個人的には様々な発見があり海外向け製品の歴史研究にかなりの影響を及ぼすと考えています。レールと同じようにどんどんひろがるぼくらのプラレール研究、今年度もまた新たな出会いはあるのでしょうか。

【参考文献】
[1]ラレールのすべて』ネコ・パブリッシング 1998年  
[2]白水社中国語辞典』白水社 2002年
[3]ラレールのすべて』ネコ・パブリッシング 1998年
[4]『TOMIXのすべて』ネコ・パブリッシング 2001年

↑このページのトップヘ